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サスティナブルな生活を目指して未来の農法を研究。日々挑戦し続ける農家さん『小富士』へインタビュー。

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Michael Hall. W(マイケル・ホール・W)氏。(小富士代表)

現在、福岡県糸島市小富士で栽培期間中、農薬や除草剤等一切不使用でお野菜を栽培されている Michael Hall. W(マイケル・ホール・W)さん。

農薬等不使用なだけでなく、日々様々な農法を研究し実際にその農法にてお野菜を育てられています。

SDGsへの取り組みにも積極的で、パッケージはプラスチックフリー

そんな日々挑戦し続けるマイケルさんへ農業の魅力やSDGsへの取り組みの重要性をインタビューしました。

―農業を始めたきっかけを教えてください。

安心・安全かつ美味しい野菜が食べたい。

しかしスーパーマーケットで売っている野菜は育てた農家さんの顔や思いが不透明で不安でした。

自分で野菜を作って、自分で管理したい。

それと、採れたて新鮮な野菜は一番美味しいことを知り農業を始めました。

―今までどのような農法を試してきましたか?

最初は竹炭を使った栽培方法から始めました。

私は竹からバイオ炭を作って畑の土壌改良に7年間使用しています。

バイオ炭を土に混ぜることで、もし汚染されたものが外から土に混入しても、その悪い成分を竹炭が吸収してくれるので、農地の汚染を防いで土をもっと安全な状態にして、より美味しい野菜が育つようになります。

竹炭そのものは肥料ではありませんが、竹炭によって野菜の成長に大切な微生物が育つ、良い土の環境をつくり、雨水が少ない時期でも水分を保つのに役立ちます。

また竹炭は、空気中の二酸化炭素を吸収することができるのでCO2削減にもつながります。

そして私の畑では、化学肥料、殺虫剤、除草剤は使いません。

理由はこれらの人工的な農薬は、土の中のエコシステム(生態系)を傷めることになるからです。

そして、その土で育った野菜を食べる人間も傷つけてしまいます。

私は自然のやり方を信頼して実践しています。

竹炭のほかにも、雑草をエコ・フレンドリーに減らすために、自然分解する段ボールで土を覆う工夫をしています。

こうすると土の質が向上して、不要な段ボールの削減にもなります。

段ボールを再利用したり、有機腐葉土やコンポストを使うことで、土の中のエコ・バランス(生態系のバランス)を良くしてくれる虫たちや微生物を増やすことができます。

虫たちの力を借りるのもエコ・フレンドリーのやり方です。

このエコ・フレンドリーの栽培スタイルで、私の小富士の畑の土はバランスが良く、植物は必要な栄養が取れます。

皆さんも私の野菜を味わってみてほしいです。

―次にチャレンジした農法はありますか?

気候変動が深刻になってきていて、露地栽培が年々難しいと思うようになっています。

気候変動に対応するために現在露地栽培から未来の農法であるアクアポニックスに挑戦しています。

アクアポニックスとは
●循環型の農業●

野菜の生産性とエコの両立ができるサスティナブルな未来の農業として、世界中で導入されるアクアポニックス

近年では、都市農業や家庭菜園として様々な方がアクアポニックスを取り入れられています。

持続可能な食料生産から家庭菜園まで。

その可能性に世界が注目しています。

●循環バランスが大事●

アクアポニックスで最も大事なことは、“バランス” です。

魚に与えるエサは、魚のフンとなり、微生物が分解して、植物の栄養となります。

魚・微生物・植物の3者が24時間循環する水で生態系をつくり、バランスよく循環する仕組みを整えることが大切です。

Aquaponics
アクアポニックスのシステム●
Aquaponics2

アクアポニックスのシステムは、植物の水耕栽培装置と、魚の飼育装置の2つに分かれます。

魚の飼育装置は、基本的に淡水魚用の閉鎖循環式陸上養殖システム(クローズド・ループ・システム)です。

飼育槽、ろ過槽(物理ろ過と生物ろ過)、水流ポンプ、エアポンプで構成されます。

これらを配管で植物の水耕栽培装置につなぎ、魚の飼育水を循環させることで、植物を栽培します。

現在の地球は、水不足が深刻化してきている中、露地栽培農業は水をたくさん使いますが、アクアポニックスで栽培すると、90%以上もの水を削減できるのでとてもエコです。

さらに、近年問題視されている温暖化や天候にも左右されずに栽培できるので将来人気の農業になるでしょう。

他にも魚と野菜を一緒に育てられる凄さにとても魅力を感じ、私もアクアポニックスの栽培方法を取り入れようと思いました。

今は野菜と一緒にニジマスを育てています。

―他になにかこだわりはありますか?

2021年からの新しいチャレンジで、プラスチック・フリー・パッケージを始めました。

日本の農業ではまだまだ沢山のプラスチックが使われています。

色々と試しながら、生産者として私の野菜を育てる環境からプラスチックを無くしていきたいと思います。

まずは野菜の梱包材からプラスチックをなくし、1つ1つ心を込めて梱包しています。

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―今後の展望や目標について教えてください。

サスティナブル(持続可能)な生活をしていくために、アクアポニックス技術を活用して規模を広めたいと思っています。

私は九州大学芸術工学研究院で研究をしているので、まずは九州大学の学生たちにアクアポニックス技術について教えています。

実際に学生たちと一緒に未来の農法のデザインを研究しながら農業の楽しさや大変さを感じています。

―最後に皆様に伝えたいこと。

お客様へ野菜を楽しんでもらいたいです。

農薬を使わずに育てた野菜は環境に良いだけではなく、素材の味がしっかりしていてとても美味しいです。

まず一度食べてみてください。食べていただいたら分かると思います。

農薬を使わずに育てた美味しい野菜を食べる事で、からだにも環境にもよい。

サスティナブルな生活ができます。

ぜひ私たちと一緒にサスティナブルな生活を送りましょう。

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