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「サーキュラーアグリカルチャー(循環型農業)」を目指してより良い土を追求。土にこだわる農家さん『藍陽農園』にインタビューしました。

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藍陽農園 小松大介さん・山吉なおみさん

福岡市西区で栽培期間中、農薬不使用化学肥料不使用完全有機堆肥「土の薬膳」「マヌア」を使用した自然栽培でお野菜を育てられている藍陽農園さん。

ん?「土の薬膳」?「マヌア」?と思う方も多いのではないでしょうか。

今回は「サーキュラーアグリカルチャー(循環型農業)」を目指して、より良い土を追求する藍陽農園の山吉さんと小松さんにお話しをお伺いしました。

―農業を始めたきっかけを教えてください。

小松さん:私は以前工業系の企業に勤めておりました。そこで工場生産・大量生産の現場での環境汚染や人への影響を目の当たりし、自然への考え方や意識が変わるきっかけになりました。
その中で、食べるものの大事さ、重要性に気付き、農業を志すようになりました。

しかし、農業の世界においても、農薬・化学肥料を使ってより大きく、より多くの作物を収穫する現実があります。
私達は、人の都合によって自然の流れを歪めるのではなく、自然の流れに沿った方法を選びたいと考えました。鳥や獣、虫達の役割、存在の意味を今一度考えて、作物を作っていきたい。

農業の知識・経験を深めて、安心・安全な野菜本来の味わいを感じられる旬のお野菜を作っていきたいと思い農業を始めました。

山吉さん:8年前より「nu°」というアパレルブランド立ち上げ、その頃から素材は栽培過程において自然環境に負荷が掛からず、土に還る「リネン」を使用しています。また、オーバー在庫にならないようセミオーダーで一点ずつ洋服を作るなど環境への配慮、SDGsへの取り組みを行ってきました。

自身のアパレルブランドのコンセプト「自然との一体感や融合、自然からの恩恵を形に表し、生活に取り入れる」というものと、農薬・化学肥料を使用せずに有機物と微生物との働きによる循環型の農業がリンクし、衣と食への取り組みを深めていき、自分のできる範囲で地球に負荷をかけない取り組みをしたいと考えたからです。

サーキュラーアグリカルチャー(循環型農業)とは具体的にどのような農業ですか?

簡単に言うと、人間の食品加工から出た廃棄物を堆肥化させ、土に戻すことでアップサイクルし、環境への負荷を減らすだけでなく経済成長も同時に実現しようという考え方です。
日本ではまだあまり聞き馴染がないですが、今後日本でも重要になってくるワードだと思います。

サーキュラーアグリカルチャー(循環型農業)を目指し、現在どのような工夫をされていますか?

金澤バイオ研究所の金澤先生にお話しを伺い、 manucoffeeさんと共同でつくられたアップサイクル完熟有機堆肥「土の薬膳」「マヌア」を使用しております。

アップサイクル完熟有機堆肥「土の薬膳」「マヌア」とは?
「土の薬膳」

土と植物の健康のために。
—金澤バイオがお届けする土のこと—
長年の研究で生まれた、安全で上質なオーガニック肥料
お子様が素手で触っても安心の100%天然素材
素材はすべて天然素材、90度以上の熱を発する特殊な菌で発酵しているため、病原菌や雑草種子がないクリーンで安全です。じっくりと効くため、植物が丈夫に育ちます。残留農薬やダイオキシンなどの有害物質も軽減するのも実証済み
有機JAS認定も取得済みです。

バイオ技術×天然素材。
原料は天然素材と菌のみ
鉱物や薬草を組み合わて生薬をつくるように、土にも無数に住む微生物や養分などのバランスがあります。
天然素材と超好熱菌の力を融合させた「土の薬膳®」は、東洋医学の考えとを土の世界に応用させた新しいタイプの肥料です。
殺虫剤や農薬で問題を解決するのではなく、植物の母体である土の健康に着目しました。
効きめの早い化学肥料は植物に負担を与えますが、微生物菌体が豊富な「土の薬膳®」は土に滋養を与えてじっくりと効くため、免疫力の高い丈夫な植物が丈夫育ちます。
研究で培った最新バイオ技術と自然の恵みの融合で開発されたバイオ肥料は、「土のための薬膳」なのです。

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「土の薬膳」で作られた植物。
無農薬」というだけで安心していませんか?
充分に発酵していない未熟な肥料で育てられた野菜には、大腸菌などの有害な物質が混入しているものが少なくないのが現状です。
滋養たっぷりの肥料で育った植物は、植物が本来持つ力強い生命力にあふれています。
無農薬栽培の金澤茶園、農林水産大臣賞を受賞した「お茶の春一番」とのコラボ、デビッド・オースチン・ロージズ社の契約園芸家デービッド・B・サンダーソン氏のバラ園など、園芸家の方々に愛用されていることから、その力は実証済みです。

「マヌア」

manucoffeeでは年間約120,000杯分、4トンを超えるコーヒーカスや、焙煎時に出るチャフ(薄皮)を排出しているといいます。

以前は、消臭効果のあるコーヒーカスを袋に詰めお客さんに持ち帰ってもらえるように無料で配布していたそうですが、それも最終的には廃棄されてしまうため根本的には解決されないまま。

そんなコーヒーを淹れる際の不要物を再利用した100%天然の高品質有機肥料です。
酵素の力が土を健康にし、腐植によって植物の免疫力もアップ。土壌改良を実現します。

その他にも、清涼飲料工場から本来産業廃棄物として捨てられていたお茶殻(出がらし)や、木工作家の方からおがくず(木の削りカス)をもらって再利用しています。

今まで捨てられていた産業廃棄物ですが、コーヒーカスやお茶殻、おがくずにも十分な栄養があります。

植物性の産業廃棄物を使って土壌をつくることはエコなだけでなく、土の中の有機物を増やして微生物の多様性が増えるので、健康な土になり美味しいお野菜ができるのです。

―農業をしていて悩んでいることはありますか?

畑の周りにイノシシやアナグマなどの獣が多いことが悩みです。鉄柵や電気柵などを使えば一時的な対処は簡単ですが、私たちはできるだけ自然なもので解決したいと思っています。

獣は火を避ける習性があるので、コーヒーカスなど焦げたものを畑の周囲に撒くと臭いで来なくなったり、良い土をつくるとミミズがいなくなるので獣が寄って来なくなるなど教えていただいたので、現在取り組み中です。
野生の動物とどのように共存していけるのか、こういった悩みもいい土づくりに繋がるんだと思いました。

―今後の展望や目標について教えてください。

今後は作物の品質や収量をよりよくしていくために今まで以上に「土づくり」に力を入れていきます。土の中の微生物の多様性を増やし、自然の作用に目を向けて、環境に配慮した循環を大切にしてきます。

目標は、「植物から植物をつくる」ことです。

―最後に皆様に伝えたいこと。

「和を以って貴しとなす」

気心知れた仲間となんでも話し合える人間関係を大切にして、目に見えるもの、見えないもの、すべての自然環境に感謝して畑に従事しています。自然との調和、循環と持続を大切に考えて育てた作物を通して、たくさんの笑顔に会えたらと思っています。

「土」にこだわった私たちのお野菜をぜひ一度食べていただきたいです。

ぜひ私たちと一緒にサーキュラーエコノミー(循環経済)を意識した生活を始めてみませんか?

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