SDGs

再生可能エネルギーってなに?

1.再生可能エネルギー(再エネ)とは


石油や石炭、あるいは天然ガスなど有限であるエネルギーではなく、風力や地熱、太陽光、バイオマスなどの自然に発生する現象を使ったエネルギーです。自然のエネルギーですので、将来的に枯渇することがなく、温室効果ガスなどを発生することなく発電することが可能なため、地球環境にとっても負担のない発電方法です。

2.CO2も出ない原子力発電ではダメなの?


再生エネルギーは環境によい反面、高価で供給不安定というマイナス面があります。加えて日本は資源に乏しいためエネルギー自給率はとても低いです。そこで、日本は火力発電に変わるエネルギーとして、原子力発電によるエネルギー確保を目指していました。

原子力は発電の際にCO2の発生がないこと、コストや供給量も安定するという点から、火力発電に変わるエネルギーとして原子力発電所の建設も推進されていました。しかし、原子での発電は高レベルの放射性物質を発生させてしまいます。また、その放射性物質の廃棄場所も決まっていません。原子力を扱うということは危険な物質を扱うということです。


そんな中、2011年東日本大震災東京電力福島第一原発での事故が起こりました。この出来事によって、事故は完璧に防ぐことは不可能なのだと思い知らされました。周辺の地域での生活はこの事故で一変することになり、国土の全域で地震が起こる日本にとってこのような事故は、いつどこで起こってもおかしくないことなのだと認識することになりました。

その後、日本では一時は全体の25%を占めていた原子力発電をゼロにしましたが、現在は事故後に作られた新基準で徐々に再開されています。ゼロになった原子力発電で得ていた分の電気は石炭や液化天然ガスを利用した発電の割合を増やして穴を埋めていましたが、再生可能エネルギーを使った発電も少しずつ割合は増え続けています。2010年は10%程の割合だったのが、2019年には18%まで伸びています。

3.再生可能エネルギーの売買


再生エネルギーの普及を目的として2012年よりFIT制度が制定されました。この制度は、正式には固定価格買取制度といいます。再生エネルギーで起こした電気を電力会社が一定の価格・期間で買取を行うという取り組みです。この制度によって、設備建設にかかる金額とその後販売する電力での収入の金額の見通しを立てられるので、発電設備の建設が普及していきました。


対象となる再生可能エネルギーは、太陽光風力地力バイオマス、の5つの中から選択し国の要件を満たす事業計画書を作成、その計画書に基づいて新たに発電を始められる方を対象としています。日本の再生エネルギーの中で最も普及しているものは、太陽光発電で、その次がバイオマス発電となっています。

太陽光発電


太陽光発電は、FIT政策もあり一般家庭での太陽光パネル設置も進み、一気に発電量を増やしました。太陽光発電は、太陽電池をソーラーパネルに集め、太陽光エネルギーを電力に変換する発電機を使い発電するものです。太陽光発電は、太陽の光を要するので日射量によって発電量が変わります。設置場所や角度、天気、地域によって差が出ます。

他にも、設置しているパネルの枚数によって発電量に差があります。また、家庭内で太陽光発電を使って集めた電気を使用する場合には、パワーコンディショナーという装置が必要となります。

太陽光発電を設置することのメリットは、電気代を節約できる、停電しても電気を使うことが可能なので災害時にも安心できる点です。電気自動車を使う場合には、さらに節約効果があります。太陽光発電に特化した住宅街なども建設されています。

また、営農型太陽光発電という取り組みも推進されています。

営農型太陽光発電とは

農地に支柱を立て上部空間を太陽光設備にし、太陽光発電と農地経営を共営する仕組み

発電した電気で栽培ハウス内の温度管理を行い電気代の削減をしたり、未収穫期間の収入に当てたり、町の非常用電源として提供している企業もあります。太陽光発電は施設を新たに建設する必要がなく太陽のあたる場所や既存の建物の屋根に設置することが出来るため、住居の屋根、農地、用途に困っている山間部の土地などで活用されています。

バイオマス発電


太陽光発電の次に発電量の多いバイオマス発電は、動植物等の生物から作られる有機性のエネルギー資源で、化石エネルギーは含みません。その生物から作られたエネルギーを燃焼したり、ガス化した後燃焼したりして発電する仕組みのことを言います。

バイオマス発電は燃料や燃焼方法によって種類が分かれています。

直接燃焼方式
直に間伐材や可燃ごみなどを燃焼させて蒸気タービンを動かす方法。

熱分解ガス化方式
燃料を加熱することでガス化処理し、ガスタービンを動かして発電する方法。

生物化学的ガス化方式
家畜の糞尿や生ごみなどを発酵させてバイオガスを起こし、ガスタービンを動かす方法。

現在のバイオマス発電はバイオマス単体の設備はごく一部で、ほとんどは石炭等との混合燃焼の設備となっています。

バイオマス発電は、CO2を発生させにくく、燃焼物は本来であれば焼却され、廃棄されるものを使っているので無駄を減らしエネルギーに変換することが可能です。太陽光発電や、風力発電と違い屋内での有機物を燃焼させることでの発電になるので天候などに左右される心配なく発電することができます。

ただし、安定的に燃料が確保できない場合は、化石燃料を混合して発電量を安定させる方法をとる場合もあります。自然の力を必要としないので、場所での条件も他の再エネに比べると比較的自由に選択することが可能です。利便性が良いのは、燃焼させる燃料の調達しやすい場所に建設することです。ごみ処理場や廃木材が出る事業者の多い地域などに設置すると燃焼材料を手に入れやすいでしょう。

ライフスタイルの中に取り入れてみよう


個人でもバイオマス発電を使用した電力会社から電力を購入することが可能で、プランの中にCO2フリープランというものを選択できる企業もあります。太陽光発電などを住宅に設置することは難しいが環境に配慮した電力を使用したいという方は、このようなバイオマス発電によって作られた電気を使うとCO2の削減にも協力することができます。