HEALTH

薬膳は基本をおさえたら簡単!薬膳の力で体の内側から元気な毎日を!

sign

みなさんは“薬膳”と聞いてどのようなイメージを抱きますか?

「漢方薬を混ぜた食事」「特別な食材を使った料理」「意識の高い人が食べるもの」など難しいもののように感じるかもしれませんが、これは誤解です。

薬膳は決して難しいことではなく、みなさんも無意識に取り入れていることもあるんです!

例えば、寒い日や風邪を引いたときに生姜やネギなど体を温める食材を意識してとったりすることってありますよね。

季節によって栄養も美味しさも増す「旬の食材」を積極的に食べることもあると思います。

実はこれも“薬膳”です。

特別な食材を薬膳というのではなく、食物の働きを意識しながら食べると、それは薬膳になるのです。

すべての食物には、薬膳の効果があると言われています。

そのため薬膳の基本を理解するだけで、日常生活に十分薬膳を溶け込ませることができるのです。

“薬膳”の基本

陰と陽

sign

薬膳の基本となる考え方の1つが「陰」と「陽」です。

太陽(陽)と月(陰)、男性(陽)と女性(陰)といったように、この世にあるものすべては陰と陽に分けられており、食材にも「陰」と「陽」があります。

細胞や細胞や血管をゆるめたり、カリウムの多いもの、体を冷やす作用のあるもの

≪陰の食材≫
ナス、トマト、ピーマン、牛乳、はちみつ、バナナなど

細胞や血管を締めたり、ナトリウムが多いもの、体を温める作用のあるもの

≪陽の食材≫
梅干し、たくあん、いわし、わかめ、タコ、ハマグリなど

体を冷やす食べ物は避けた方が良いと思われがちですが、健康を保つには陰と陽の食材を上手に組み合わせることが大切です。

五臓

sign

五臓とは人間の体の「肝・心・脾・肺・腎」を指します。

それぞれに生きていく上での役割や機能があり、その働きを助ける食材も異なります。

1.肝

≪肝の主な役割≫
ストレスから身を守る、造血作用、血を巡らせ蓄える、「目」の働きと関わる

≪肝に働きかける食材≫
ウナギ、シジミ、ニラ、ホウレン草、梅、イチゴ、ゴマなど

2.心

≪心の主な役割≫
全身に血を循環させる、精神を健全に保つ、情緒の安定、冷えを防ぐ、「舌」や「脈」と連動する

≪心に働きかける食材≫
卵、小麦、レンコン、スイカ、トマト、ニンジン、牛乳、烏龍茶など

3.脾

≪脾の主な役割≫
「口」から入った食物や飲料を栄養に代え全身に運ぶ、食物の消化吸収、栄養を「気」「血」に変換する。老廃物を汗や尿にして排出する

≪脾に働きかける食材≫
米、牛・鳥・羊肉、大豆、黒豆、カボチャ、ニンジン、アスパラガス、長芋、タマネギ、トマト、リンゴ、レモンなど

4.肺

≪肺の主な役割≫
呼吸を司る、水分を調整する、粘膜を保護する、免疫機能を調整する、「鼻」や「皮膚」に関わる

≪肺に働きかける食材≫
ダイコン、山芋、長ネギ、白菜、レンコン、ショウガ、クルミ、ゆずなど

5.腎

≪腎の主な役割≫
活力(エネルギーを蓄える)、老化を予防する、美容に働きかける、成長や発育を促す、ホルモンバランスを整える

≪肺に働きかける食材≫
鮭、アジ、エビ、昆布、クリ、クルミ、サツマイモ、トウモロコシ、ブドウなど

六味

sign

六味とは、食材の味である「酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味・淡味」を指します。

「単純に舌で感じる味」とはまた異なる概念で、それぞれの味に対応する症状と働きがあります。

酸味:酸っぱい味

≪対応する症状≫
精神の緊張、下痢、慢性の咳、多汗、心悸・動悸、頻尿など

≪食材≫
レモン、ざくろ、酢、ブルーベリー、リンゴ、スモモ

苦味:苦い味

≪対応する症状≫
炎症、発熱、多汗、口内炎、排尿痛、血尿、便秘など

≪食材≫
セロリ、緑茶、アロエなど

甘味:甘い味

≪対応する症状≫
食欲不振、痙攣、発熱、虚弱な体質、慢性の痛みなど

≪食材≫
そば、牛乳、卵、トウモロコシ、穀物、トマト、ブドウ、リンゴ、きゅうりなど

辛味:辛い味

≪対応する症状≫
痛み、冷え性、うつ状態、於血など

≪食材≫
ネギ、ショウガ、ワサビ、ニンニク、唐辛子、コショウなど

鹹味:塩味

≪対応する症状≫
便秘、痰、咳・喘息、できものなど

≪食材≫
イカ、アサリ、タコ、味噌、昆布、海苔、クラゲなど

淡味:はっきりしない味

≪対応する症状≫
難聴、もたれ、めまい、むくみ、排尿、下痢など

≪食材≫
ヨイクニン、冬瓜など

代表的な体質の特徴とおすすめ薬膳食材

sign

陰虚(いんきょ)体質の特徴

体液、つまり体を潤す水分が不足している体質を指します。

≪主な症状≫
のどが渇く、口や鼻が乾燥する、皮膚がカサカサする、便が硬くなる

≪おすすめの薬膳食材≫
ネバネバした食材には体を潤わせる働きがあるとされています。オクラ・山芋などが該当します。

気虚(ききょ)体質の特徴

体の気が不足している体質を指します。

気には体を温め、免疫血液循環生理活動を促進するなどの役割があります。

≪主な症状≫
疲れやすい、息が切れやすい、感染症にかかりやすいい、消化不良、食欲減退、気分の落ち込み

≪おすすめの薬膳食材≫
たんぱく質に富むまめ類、肉類、卵、スタミナがつくショウガやニンニクなどもおすすめです。

気滞(きたい)体質の特徴

体内の気がうまく行き渡らず、エネルギーが循環していない体質を指します。

≪主な症状≫
イライラしやすい、焦りを感じる、怒りっぽい、胸やみぞおちにつかえを感じる

≪おすすめの薬膳食材≫
「肝」に作用するイカ、指示になどの魚介類がおすすめです。またオレンジなどの香りが強い柑橘類も効果があります。
一方、体を冷やす恐れがある冷たい食べ物や飲み物は避けましょう。

血虚(けっきょ)体質の特徴

血が不足している体質を指します。

漢方では血は血液だけでなく、皮膚や髪の毛、筋肉、骨などもつくる働きがあるといわれています。

≪主な症状≫
貧血、不眠、肌にツヤがない、目の疲れ、立ちくらみ

≪おすすめの薬膳食材≫
色の濃い食材、特に血液に似た赤色や赤黒い色の食材がいいとされています。

黒豆や黒ゴマ、レバー、赤身の魚、ニンジンなどが該当します。

血瘀(けつお)体質の特徴

血の循環が悪くなり、全身に栄養や潤いが行き渡りづらくなっている体質を指します。

≪主な症状≫
シミやニキビなどの肌トラブル、クマ、頭痛、肩こり、関節痛、静脈瘤、神経痛

≪おすすめの薬膳食材≫
新陳代謝を改善するウナギや羊肉などがおすすめです。

血の巡りをよくする玉ねぎやニラなどの香りの高い食材や青魚も効果があります。

まとめ

薬膳は体いいイメージがある反面、「漢方くさい」「難しい」「面倒」など、ネガティブなイメージも持たれがちです。

薬膳を学んでいくと、聞きなれない単語もたくさん出てきますが、つまり体の不調に合わせた食事が薬膳です。

難しく考えすぎず、体が喜ぶ食生活を意識して日常に薬膳を取り入れてみてはいかがでしょうか。