人生100年時代と呼ばれる現代。「フレイル」という言葉を耳にすることが多くなりました。
今回はそんな「フレイル」がどんな症状なのか?予防するための食事はなにがいいのか?をご紹介していきます!
フレイルとはどんな症状?
フレイルとは心身の機能が低下して、弱っている状態のことです。介護が必要な状態へと移行するリスクが高まっている、介護予備軍ともいえます。
原因はさまざまですが、最も大きな原因は「病気」と「老化」です。生活習慣病やがんなどさまざまな病気によって、心身が虚弱状態になり、介護予備軍となることが多いのです。たとえ病気でなくても、年を重ねると身体の機能が衰えてきます。ここに栄養不良や社会からの孤立、喫煙、うつなどの要素が加わって、介護予備軍となるケースも増えています。
フレイルは、「身体的な衰え」「精神的な衰え」「社会からの孤立による衰え」の3つの要素で構成されています。その中でも最初のきっかけは、社会からの孤立だと考えられます。定年退職などで自宅に引きこもるようになる、子どもが独立して夫婦二人になるなど、高齢になると自然と生活範囲が狭まります。また近年では新型コロナウイルス感染症の影響で外出ができず、友人や家族との交流が途絶えることも大きな問題となっています。
社会的な孤立が引き金となって、鬱状態に陥る人は少なくありません。その結果、料理をするのが面倒に感じる人も多いのです。歯も衰えて噛む力も弱くなります。口腔の機能の衰えによって食事が楽しめなくなり、栄養失調に陥ることもあるのです。このような状態を、オーラルフレイルと呼んでいます。
虚弱状態に陥るのは、年齢的には65歳が境目といわれています。健康寿命を延ばすためには、フレイルの予防が重要です。
そのためには、 下記の3点が重要です。
- 1.食事をしっかりと食べて栄養を取ること
- 2.適度な運動をして体を動かすこと
- 3.働く、ボランティア、仲間と交流するなど社会参加をすること
フレイルを予防するための食事
虚弱状態を予防する方法の中でも、特に重要視されているのが「栄養」です。私たちの体は食事から作られており、日々の活動のエネルギー源でもあるからです。運動をするにも社会参加をするにも、しっかりと食事を取って栄養不足にならないことが大切なのです。
年齢を重ねてくると、歯や歯茎が衰え、噛む力が弱まってきます。自分ではしっかりと食べているつもりでも、知らないうちに食事の量が減っていることが多いのです。硬くて肉が食べられないなど、口腔の衰えが気になる場合は、歯科医で治療を受ける、入れ歯を作る、あるいは入れ歯を作り替えるなどして、噛む力を高めましょう。また口の機能を鍛えるために、日頃からよくしゃべる、新聞や本を声に出して読む、よく噛んで食べるなど、なるべく口を動かして筋肉を衰えさせないことも大切です。
栄養が不足すると、筋肉が衰えて転倒などのリスクが高まります。また、日常生活を送るためのエネルギーが枯渇して、動くのがおっくうになります。さらには免疫力が低下して感染症にかかりやすい、体調不良が続くなど、さまざまな悪影響を及ぼすのでとても危険です。
虚弱状態になるのを防ぐために、日々の食事では次の3点を守るようにしましょう。
毎日3食をきんちと食べること!
1点目は、毎日3食をきんちと食べることです!年齢を重ねると、1回ごとの食事の量が自然と減ってきます。1日に2回など、食事の回数が減ると摂取量が大きく減少し、栄養不足に直結するのです。1日に3回食べることで、規則正しい生活が送れるのも大きなメリットです。規則正しい生活は、心身の健康に欠かせない習慣です。
主食と主菜、副菜を組み合わせて食べること!
2つ目は、3食の食事のうち最低でも2回は、主食と主菜、副菜を組み合わせて食べることです!主食のご飯やパンなどは、私たちが生活するためのエネルギーを補給する、重要な栄養素です。主菜では、肉や魚、卵、大豆製品など、筋肉や血液など体を作るのに欠かせないたんぱく質を補給します。そして副菜では、野菜や海藻、きのこなどからビタミンとミネラル、食物繊維を取りましょう。海藻や野菜の入ったお味噌汁もおすすめです。
主菜や副菜を作るのが面倒なら、缶詰やレトルト食品、スーパーなどで売られている惣菜を利用しましょう。最近は、食事の宅配サービスも増えてきました。
いろいろな種類のものを食べること!
3つ目は、いろいろな種類のものを食べることです。いろんな種類を食べるのは、意識しなければ意外と難しいものです。朝はパンだけ、昼はうどんやそばだけという方も多いでしょう。理想は1日に11品目を食べること。ご飯やパン、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品、海藻、いも類、果物、油、野菜を食べるよう意識しましょう。
そんなにたくさんの種類を食べられない…と思うかも知れません。でも、肉のたんぱく質は、ソーセージやハムからも摂取できます。魚は、サバ缶などの缶詰を使えば手軽です。大豆製品ならご飯に納豆を添える、味噌汁に豆腐を入れる、市販の豆の煮物を利用するなど。
卵も、卵かけご飯にすれば手軽です。また、おやつにプリンを食べるのもおすすめ。芋類は味噌汁に入れる、市販のポテトサラダを購入する、おやつにふかし芋を食べるなど。海藻類は味噌汁にわかめを入れる、海苔の佃煮をご飯に添える、ご飯に海苔を巻くなどで手軽に取ることができます。
果物もおやつや、食後のデザートとして楽しみましょう。乳製品は、朝食にチーズを添える、コーヒーに牛乳を入れる、おやつにヨーグルトを食べるなど、いつものメニューにもう一品加えるだけで、食卓が充実するはずです。
特に高齢者が意識して取りたい栄養素は、たんぱく質、カルシウム、ビタミンDです。
高齢者の場合、1日に必要なたんぱく質の量は、体重×1~1.2gといわれています。体重が50kgであれば、1日に50~60gです。
1日に50~60gのたんぱく質が必要です!
例ですが、50~60gのたんぱく質を取るためには、下記の食材を摂る必要があります。
- 肉60g(たんぱく質12g)
- 木綿豆腐80g(たんぱく質6g)
- 納豆40g(たんぱく質6g)
- 青背の魚60g(たんぱく質12g)
- 牛乳200ml(たんぱく質6g)
- 卵1個(たんぱく質6g)
- チーズ1かけ(たんぱく質5g)
また、骨折を予防するためにはカルシウムと、カルシウムの吸収を高めるビタミンDも欠かせません。カルシウムは乳製品や小魚、海藻、大豆製品、野菜などに含まれています。
ビタミンDは太陽の光を浴びると、生成されます。散歩やウォーキング、日光浴をおすすめします。食事では魚やキノコ類、卵などに含まれています。