1.SDGsとは
持続可能な開発目標の略称です。2015年の国連サミットで全会一致によって採択されました。国連加盟国193ヵ国による、2016~2030年の間に、より良い世界にするために掲げた17の目標とその目標達成のために考えられた具体的な169のターゲットからなる世界的な取り組みです。
2.日本のSDGs
17の目標の日本における達成度は、156ヵ国中19位となりました(2022年「Sustainable Development Report」より)。質の高い教育や産業と技術革新、平和と公正をすべての人に、の目標は2022年の現時点で達成済みとされています。しかし、逆にいうと達成されたという判断をされるのは、17の目標のうちたった3つだけです。
評価には、達成済み、課題が残る、重要な課題がある、深刻な課題があると分類されます。特に深刻な課題があると評価されたのは、2022年度では6つあり順位でいえば、3年連続でダウンしているという結果です。
目標5「ジェンダーの平等を実現しよう」
日本が深刻な課題とされている問題点や解決方法について、目標5「ジェンダーの平等を実現しよう」において日本は先進国の中で非常に遅れをとっていると言われる分野です。
ジェンダーとは、男性・女性であることに基づいて定められた社社会的・文化的な役割の違い、女性と男性、女児と男児の間における関係性、さらに女性間、男性間における相互関係を意味します。
女性の社会進出と言われ始めたのは最近のことではないですし、女性だから男性だからで職を選択しなければいけないということもありません。女性が社会に出て働く機会は増えた一方、男性の育休取得率は上がらず、介護などの問題を背負うのも圧倒的に女性の方が多いです。
また、日本では国の担う立場である女性の議員数も少なく、女性への割り当て議席(クォーター制)という案もありますが実現はしていません。男女平等という言葉や考えが広まってからかなりの時間は経ちますが、男女とも女性は家庭にという考えが消えないのかもしれません。政府主導で男性の育児参加であったり、クォーター制などの女性議員の数を増やしたりする必要があります。
アイスランドは12年連続で「ジェンダー平等」世界一となった国です。取り組みとしては、男性も積極的に取りたくなる育児休暇の制度が整っていることです。母親、父親とも6ヶ月の育児休暇、さらに父母共有6週間もうけられています。その間の給与の8割は政府が支給。従業員50人以上の企業は女性管理職比率を4割にすることが義務化されており、国会の議員も約半数が女性です。
これらは日本の問題点だけではなく、世界のジェンダーの課題でもあります。発展途上国では、現在も児童婚が強制され、学校にも行けず、10歳にして親によって結婚を決められたり、女性器を切除されるというような女性の権利が著しく損害する行為が行われる国もあります。これらもSDGsの課題として世界が解決すべき問題でもあります。
目標14「海の豊かさを守ろう」/目標15「陸の豊かさを守ろう」
目標14、15の「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさを守ろう」といった目標も日本にとって深刻な課題です。
海洋汚染はどんどん進んでおり、このままの生活を続けると、海に捨てられていくプラスチックの量は2050年には魚の数を上回るといわれています。
また、漁業従業者の雇用を守り、海洋資源の持続可能な利用を考える必要があります。人が生活するうえでプラスチックごみが出るという現状はすぐには変えられませんが、プラスチックごみの影響で海の生物の生態系を狂わせるだけでなく、魚が減ると漁業にも影響が出ますし、汚染された海には観光客なども来なくなり街の観光業までにも影響が考えられます。
SDGs取り組みとしてMSC認証やASC認証というものがあります。
MSC認証 | 海の環境に配慮した漁獲をする水産物への認証 |
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ASC認証 | 環境や地域社会に配慮した養殖の水産物へ認証 |
このような認証の付いた水産物を選ぶと、取り組みに協力することができます。またマイバッグやマイボトルを使い、プラスチックごみを減らす意識や、海辺でのごみの撤去も大切です。
陸の豊かを守るという問題は、森林伐採により森がなくなり、砂漠化がおきるなど、動物たちの生態系を破壊し絶滅した動物や絶滅危惧種とされる動物の数は毎年増え続けています。また、森林が減ることによって地球温暖化も進みます。森林火災も地球温暖化や気候変動により雨量が少なく、干ばつが起こりそれに伴った乾燥によって、ひどい森林火災が起こる原因のひとつとされています。
森林伐採により地球温暖化が起こり、地球温暖化が原因で森林火災が起こり、さらに森が減り動物の住処もなくなるといった悪循環が起こっています。日本の森林面積は横ばいで急激な変化は今のところありません。しかし、日本で使用する木材のほとんどが海外からの輸入により成り立っているのが現状です。安価な木材を利用することによって日本の林業では稼げず、林業の担い手が減少してしまっています。そして日本が輸入している木材によって世界の森はさらに減少してしまうのです。
日本でも持続可能な木材資源の運用として、循環型森林経営やFSC認証木材の生産を行っています。
循環型森林経営 | 伐採したら植える、伐採したら植えるを繰り返すことで、持続可能な森林を維持すること。 |
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FSC認証木材 | 適切に管理され生産された木材であることを認証するマーク |
取り組みとしては、世界中や日本国内でも植樹プロジェクトを推進しています。日本では、鎮守の森プロジェクトという活動が行われており、東日本大震災を契機に東日本太平洋沿岸に植樹をし、森の防波堤を作ることがひとつです。そして、地球温暖や気候変動に大きな影響を与えるCO2の削減を目的とした植樹プロジェクトです。
できることからやってみよう!
世界、そして日本の目指す17の目標にはまだまだ問題がたくさんあります。貧困、飢餓の問題や日本でも大きな問題とされている食品ロス、エネルギー資源などの問題があります。それでも、私たちでも出来ることを始めましょう。
国際連合広報センターがアクションガイドという何から始めたらいいかをまとめたガイドを作成しています。電気の節約を意識したり、オンライン決済や領収書をなくすことで紙をなるべく消費しない生活をすることや、環境に優しい取り組みをしている企業の商品を買うなど、明日から出来そうな簡単なことを紹介しています。
【国際連合広報センター】https://www.unic.or.jp/
すべて明日から完璧にする必要はないです。しかし節電や環境のことを意識するということが大切で、まず世界や日本の問題を認識するだけでよいのです。日本と世界の問題を知ると意識すべきところにも気付くことができます。
現代では、ソーシャルメディアの声は世界中に広まります。自分で発信してみるのもよいですし、苦手な方はジェンダー問題や環境問題など自分が支援したいと思った記事をシェアするだけでもその声は広まります。出来ることは決して少なくないのです。出来ることから始めましょう。