SDGs

温室効果ガスのCO2削減でカーボンニュートラルを実現する

1.カーボンニュートラルとは


世界各国や日本でも2050年までにカーボンニュートラルを達成するという目標が多くの国で立てられています。カーボンニュートラルとは何かというと、温室効果ガスの排出量と吸収量の均衡を保つといった意味です。分かりやすくいえば、温室効果ガスの排出分を出来る限り削減する努力をし、それでも削減しきれなかった残りを植林や森林を管理することによって、CO2をはじめとする温室効果ガスを吸収し、排出と吸収を差し引きゼロになるように調整しよう、という目標です。

2.温室効果ガスを削減する理由


温室効果ガスとはCO2だけでなく、メタン一酸化炭素フロンガスなどをすべて含めたもののことです。内容でいうと、CO2が全体の約76%(IPCC第五次評価報告書より)とされるため特にCO2への対策は重要です。

経済発展とともに石油や天然ガスなどの化石燃料をたくさん使用するようになり、それを使用することで多くのCO2を排出することになります。また、電力を供給するために行われる火力発電にも化石燃料が使われるため、発電の度に多くのCO2を排出してしまうことが問題視されています。


大気中には、CO2といった温室効果ガスの気体があります。こうした気体は赤外線を吸収して、もう一度排出するという働きがあります。地球の表面から地球の外に行くはずの赤外線を大気中のCO2が吸収し、地表付近で再び排出することによって、地表付近の大気が温められ、気温が上昇することで海水温の上昇異常気象、と様々な問題となり地球上の生物にも影響が出ています。
特に多くのCO2 を排出している国は中国、アメリカ、インドなどがトップですが、日本も多くのCO2 を排出している国のひとつです。また、先進国や経済成長国での排出量が多いとされています。

3.地球の未来はどうなるの?


このままCO2削減できず増加を続けた場合は、2100年には最大4.8℃気温が上昇すると言われています。また、すでに飢餓や貧困に苦しんでいる国のさらに貧困が進んでしまう可能歳が高いですし、それによって紛争などが起こる危機もあると言われています。

通常、地球は寒冷な期間と温暖な期間が交互に繰り返されています。これまでの地球では、温暖期であってもこれほどまでに急激に温暖化が進むということはありませんでした。あくまで自然現象の範囲内の緩やかな気温上昇だったのです。しかし、現在の急激な温暖化のまま進んだ場合には、多くの動物たちがその変化に耐えられず絶滅してしまうでしょう。また甚大な被害をもたらすような大きな台風が発生したり、極端な降水による大洪水が起こったりするなど自然災害にも多くの地域が襲われることになります。

4.CO2 削減の取り組み


2016年に発行されたパリ協定を世界の目標として、世界の気温上昇を産業革命以前と比較して2℃低く保って、1.5℃に抑える努力をするというものがあります。また、そのためにカーボンニュートラルを達成する、という目標も掲げられています。また、SGDs17の目標のうち、「目標13気候変動に具体的な対策を」ということも掲げられています。

目標13「気候変動に具体的な対策を」

温室効果ガスの排出が原因で地球温暖化による”気候変動に具体的な対策”を打ち、地球温暖化を少しでも改善することが目標です。この目標を実現するために具体的なターゲットを5つ設けており、実際に世界各国で取り組みが開始されています。

目標達成率が高い地域は北欧、欧州の国々ですが、様々な工夫が行われています。デンマークでは、「UN17village」という村がつくられ、水や建築資材もリサイクルするという100%再生可能エネルギーを使用した村があります。スウェーデンでは、2030年までに化石燃料の使用をゼロにするという宣言がされ、森林資源を利用したバイオマスエネルギーへの代替を行っており、CO2削減に取り組んでいます。ドイツも電力自由化され、再生可能エネルギーの提供をおこなっています。その他にも、CO2 削減へ向けた工夫がたくさん考えられています。

やはり、目標達成率が高い国では発電を化石燃料以外の方法を取っている国が多いです。実際に日本では、電気や熱のエネルギーを使って排出されるエネルギー起源CO2の排出割合の50%が発電時に排出されたものです。このため、発電の問題を解決しないことにはCO2を削減することも難しいでしょう。


日本が石炭火力発電から脱却できない理由は、安価で安定した電力の供給ができるところにあります。再生可能エネルギーを推進する動きはありますが、あまり大きく現状が変わっていないのは、(1)再生可能エネルギーは高価であること(2)発電量が安定しないためです。

現状、すぐに再生可能エネルギーへの移行が難しい日本では、石炭火力発電が主要発電エネルギーとなっているのです。しかし、石炭は他の化石燃料に比べてもCO2の排出量は多く、利用するにあたって排出量を減らす工夫が必要です。発電所の中には、クリーンコール技術というものを使い大気汚染を大幅に抑えることに成功しています。

クリーンコール技術

クリーンコール技術(Clean Coal Technology)とは、CO2などの石炭を燃やしたときに発生する有害物質をさまざまな方法で取り除き、かつ効率的に使うという地球環境に配慮した技術のことをいいます。

さらに技術開発を進めていくことによって、少量の燃料でもたくさんの電力を供給できるようになり、その分排出されるCO2の量も少なくすることができます。もちろん、ベストなのは自然エネルギーを使った発電ではあるのですが、それにより急激な電気の価格高騰や、供給が全世帯へ行き渡らないなどの不安があります。自然エネルギーへの移行方法も考えながら、石炭火力発電の効率化を進めるということでCO2削減を目指しています。


家庭でも消費電力を少なくすることを意識してみましょう。

家庭でも取り組んでみよう!

・冷房の温度を1℃上げて、暖房の温度を1℃下げてみる
・シャワーの時間を1分短くする
・電球ではなくLED照明を使ってみる
・使用していない家電のコンセントは抜く

また、車もCO2を排出する乗り物ですので、エコカーを使用したり、エコモードが付いている車も最近では多いので使用してみたりしてください。極力、電車やバスの公共機関を使うことで一度にたくさんの人が移動できるので、自家用車を乗るよりも一人あたりのCO2の排出量が削減できます。

自転車での移動が可能ならば、自転車を使うとCO2の排出はゼロです。住んでいる地域によっては、自家用車でないと移動が難しい場合もありますが、カーボンニュートラルへの一歩ということを覚えておくとよいでしょう。