「有機野菜」「オーガニック野菜」「無農薬野菜」ここ近年、多くの方が一度は耳にしたことがあるでしょう。
しかし、この3つの違いについて質問されても明確に回答できる方は少ないのではないでしょうか?
コロナ禍もあり、食が見直される世の中になった今日。
今回はそんな「有機野菜」「オーガニック野菜」「無農薬野菜」について正しくご説明します。
有機野菜とは?
有機野菜とは、農林水産省が定めた有機JAS規格の条件を満たした野菜のことです。
有機JAS認証事業者にならなければ、栽培した野菜に「有機野菜」とつけて販売することはできません。
有機JAS規格が定める基準をクリアし有機JAS認証を取得した野菜のみが有機JASマークをつけることができ、「有機野菜」とうたって販売することができます。
それには「書類審査→実地調査→判定」という段階を経て法的に認証をもらう必要があります。
また、認証後も1年に1回の年次調査を受けて合格しなければ有機JAS認証事業者として継続することができません。
有機JAS規格の代表的な基準は下記3つです。
- 化学肥料や農薬などの「無機質肥料」を使用せず、「有機質肥料」で土づくりを行い、2年(多年生の作物においては3年)以上、禁止された農薬や化学肥料を使用することを禁止されています。
- 栽培中も禁止された農薬や化学肥料は使用してはいけません。
- 遺伝子組み換え技術を使用してはいけません。
有機野菜は「農薬不使用」と勘違いされている方が多いですが、上記から分かるとおり有機JAS規格ではやむを得ない場合、約30種類の農薬の使用が認められています。
有機野菜の捉え方や方針は農家によって異なっている現状です。
オーガニック野菜とは?
オーガニック野菜とは、いわゆる日本の有機野菜のことです。
英和辞典でオーガニックと引くと「有機栽培の」という意味が出てきます。
以前はて家畜の排泄物や生ごみ堆肥を有機肥料とし使用し栽培されている野菜をオーガニック野菜と呼んでいましたが、現在ではオーガニック野菜は「有機肥料を使い、なおかつ指定された農薬を使わない」という定義へ変化し、有機野菜と同じ意味合いを持つようになったのです。
無農薬野菜とは?
無農薬野菜とは、その名のとおり農薬を全く使わず栽培した野菜のことです。
しかし、現状無農薬栽培であることを証明できる厳格な基準や規定がないため、土壌に過去使用した農薬や化学肥料が残っていたり、近隣の畑から農薬が拡散することもありえます。
「無農薬」表記は消費者に誤解を与えてしまうという意見から現在「無農薬」表記は禁止されており、代わりに「特別栽培農産物」という表示が定められています。
農薬や化学肥料、除草剤を使用せずに野菜を栽培されている農家は「栽培期間中農薬や化学肥料、除草剤等一切不使用」と記載しているところが多いです。
「有機野菜」「オーガニック野菜」「無農薬野菜」のメリット
安心、安全
有機野菜、オーガニック野菜は、2年以上、禁止された農薬や化学肥料を使用していない土壌にて野菜を栽培。
そして遺伝子組み換え技術不使用のため安全面で信頼しやすいといえるでしょう。
無農薬野菜は、その名のとおり栽培期間中に農薬を使用をせずに栽培。
しかし、「―無農薬野菜とは?」でお伝えしたように現状無農薬栽培であることを証明できる厳格な基準や規定がないため、栽培期間中農薬不使用でも土壌に過去使用した農薬や化学肥料が残っていたり、近隣の畑から農薬が拡散することもありえます。
ですが、通常の農薬を使用して栽培している野菜に比べると、栽培期間中農薬不使用という点において、安心、安全であるといえるでしょう。
素材の味が味わえる
化学肥料や農薬を過剰に使用すると、野菜は大きくなりますが栄養素や旨味が追い付かないことがあります。
野菜を購入して「大きくて美味しそうだったが味は微妙」だった経験はありませんか?
「有機野菜」「オーガニック野菜」「無農薬野菜」は、化学肥料や農薬を過剰に使用せず野菜を栽培するので、人工的に成長を促さず、野菜本来の成長スピードで育てます。
自分のスピードで育った野菜はしっかり濃厚な旨味を蓄えるので、野菜本来の味を味わえるのです。
栄養価が高い
一般野菜よりも「有機野菜」「オーガニック野菜」「無農薬野菜」の方が栄養素が優れているという研究結果が出ています。
一般野菜は長年1年中とおして栽培農薬や化学肥料を使用し栽培しているので土壌が死んでしまい、昔に比べて栄養価が低下しています。
それに比べて無農薬野菜は農薬不使用で野菜を栽培、有機野菜とオーガニック野菜は2年以上農薬や化学肥料不使用の土壌で野菜を栽培しているで、生きた土の栄養を吸収して野菜が育ちます。
環境にやさしい
化学肥料や農薬を使いすぎると、土壌や水が汚染されてしまいます。
土壌や水が汚れると地球環境以外にも、虫や魚、それらを捕食する動物などにも危害が及び、生態系を破壊する可能性があります。
無農薬野菜はもちろん、有機野菜とオーガニック野菜も認定された農薬や化学肥料しか使用しないので、私たちの健康だけでなく地球環境にも配慮できます。
「有機野菜」「オーガニック野菜」「無農薬野菜」のデメリット
不揃いな見た目
化学肥料や農薬を使用せずに栽培するため、見た目が不揃いになりやすい傾向があります。
そのため曲がっていたり大きさが均等じゃなく、一般の野菜に比べると形が悪いものもあります。
また、除草剤も使用しないため虫食いがある場合も。
しかし、見た目が悪いだけで健康への悪影響は全くございません。
切り方や調理方法を工夫すれば気になることもないでしょう。
自然に近い環境で栽培された野菜の個性だと思えば、愛おしく思えます。
価格が高い
農薬や化学肥料、除草剤等を使用せずに育てるとなると、普通の野菜に比べて手間とコストがかかります。
まず有機肥料は、作るのに材料・発酵など膨大な時間や負担がかかります。
そして、農薬や除草剤を使用しないので虫よけや草むしりを手作業で行わなくてはなりません。
手間・時間・人件費がかかっているので、どうしても一般野菜に比べると値段が高くなります。
まとめ
今回は「有機野菜」「オーガニック野菜」「無農薬野菜」の違い、メリットとデメリットについてお話ししました。
違いを理解した上で、自分に合った野菜を探すことをおすすめします!
完璧に農薬を避けることは難しいことですが、「有機野菜」「オーガニック野菜」「無農薬野菜」を選ぶことで自分・家族の健康、環境配慮、生態系を守ることに繋がります。
また、素材の味が本当に感じられるのでぜひ一度食べていただきたいです。
この機会に、毎日食べる野菜の選び方を考えてみてください。